恋愛図書館
とはいっても…
記憶の中から、見逃したサインを全部見つけるのは困難で。


カウンセリングも、商売目的のものや当たり外れがあって…

勉強にはなっても。
キミの理解に繋がる手ごたえを得るには、まだまだだ。


だけど。

ー「仲良さそうだね。
結歌って、天真爛漫に育っただろ?」
「…っわかる?
〜、すっごく仲良い家族なのっ」ー


このささやかな嘘みたいに…
キミは他にもそれを、重ねてたんだろうな。



でもそれは俺も同じなんだ。

甘い言葉も、覚悟の言葉も、今となっては嘘でしかない。


それに、故意に吐いた嘘も。

両親とも他界してる、なんて言ったけど…
母親は生きてる。


最後に会ったのが高1の時だから、たぶんだけど。



親父が死んで、誰が保護者になるかって話し合いの時…
親族が探して、連絡したようだ。


もちろん話し合いに応じる訳もなく、断り続けてたらしいけど…

親族は納得せず、1度でいいから俺と会うように要求した。
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