恋愛図書館
親子の情にかけたんだろうけど…

そんなもんある訳ないのに。







「今さら蒸し返されても、困るのよねぇ…

もうとっくに親子じゃないんだし。
こっちにはちゃんとした家族がいるんだから…
はっきり言って迷惑かしらね。

そりゃあ可哀想な事したとは思うわよ?
でもあなただって、人の幸せの邪魔なんてしたくないでしょ?

とにかく、憎んでくれていいから…
なんだったら、私も死んだと思ってくれて構わないわ。

そうね…
むしろそう思ってちょうだい?」


「…はい。とっくにそう思ってます。
だから、こんなとこ来てないで早く成仏して下さい」







忌々しげな顔を置き土産にして…
ただ俺の傷を、無駄にえぐっただけだった。


事実はどうであれ、俺の中では死んだんだ。

もう2度と、会う事は無いだろう。



親子なんだから、いつかは解り合える…
なんて幻想なんだ。

そんな綺麗事じゃ済まされない、偽物の絆や修復出来ない絆は、いくらでも存在する。
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