恋愛図書館
だから。

虐待の断定的事実を知ってからこの1年は、結歌の実家を訪れてない。


その絆を見極めるまでは、下手に動けないし…
詳しい状況が判らない以上、慎重にならざるを得ない。

まずは結歌を見つけてからだ。


それに。

結歌が必死に隠して来ただろう事実を、抑えきれない怒りで口にして…
もっと事態を悪くしそうだと思った。






もしキミが、こんな悲しい問題を抱えてなければ…
もし俺に、トラウマがなかったら…

俺達は今も、笑い合ってただろうか。



母親を主としたトラウマは、ザックリと根深くて。

あの日の結歌を…
結歌ですら例外なく、女を信じ切れなかった。


だけど俺も、親父の冤罪を信じなかった母親と同じで…
結局は、愛が足りなかっただけかもしれない。


本当の愛なら、例え自分が裏切られても…
相手の幸せを考えたり、守れる筈だ。



だとしても、今は違う。

あの頃よりずっと、キミへの愛は膨らんで…
俺達の愛は、何度でも再生出来るって信じてる。


キミと話した、桜みたいに。


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