恋愛図書館
キミと一緒に見たかったよ…
この美景に負けないくらい鮮やかな笑顔を溢れさせて、俺の隣ではしゃいでたかもしれないキミを想って…
切なさに八裂かれる。
そんな気持ちが、俺に幻を見せたのか…
目を疑う面影が映り込む。
…結歌!!
心臓が弾けた。
その横顔はすぐに後ろ姿に変わって、駐車場に続く階段の先へと消えた。
とっさに走り出して、慌てて追いかけるも…
花見客で溢れた人混みが、邪魔をする。
クソ…っ!
苛立ちながらも、ようやくその階段に差し掛かると。
「わっ…!」
不意に飛び出して来た子供とぶつかりそうになって、足止めを食らう。
「っ…、大丈夫っ!?」
瞬時に庇うようにして受け止めたその子の無事を、逸る気持ちで確認して…
再びすぐに追いかけようとした矢先。
「こら、サナ〜!
急に飛び出したら危ないでしょう!?
お兄さんに謝りなさーい!」
保護者登場で、そんな訳には行かなくなる。