恋愛図書館
「俺さ、頑張って生きてるよ…」
安心させるように微笑んで…
店長の事とか巧の事、料理の事や近況報告を、心の中で語りかけた。
親父が他界してから俺は…
死んだように生きてた。
親父が居てくれれば、イベント事なんかどうでもよかったし…
修学旅行に行く余裕がなくたって、
制服がリサイクルでヨレヨレだって、
そんな風に貧乏な生活を笑われたって…
生きててくれれば、それで良かったのに。
俺を取り巻く運命は、酷く残酷で…
ささやかな幸せですら、長くは続かない。
きっとこの先も、失うだけの人生なんだって…
それを諦めてた。
だから本当は。
入学したばかりの高校なんか退学して、適当に働くつもりだったけど。
「俺が力になるから!」って、必死に在学を説得してきた巧と。
"高校だけはちゃんと出したい"ってゆう、親父の強い意志を継いで…
あんな伯父夫婦の元で耐えて来た。
だけど言葉通りに支えてくれた巧のおかげで…
道を踏み外さなかったんだと思う。