恋愛図書館
だけど俺達は未熟で、弱くて…

頑張る覚悟なんてただ、したつもりの錯覚でしかなかった。






「誰だこの男は…!?

どーゆーつもりか知らんがっ、こんな奴と一緒なら帰って来るな!」


「あなたっ…!
結歌が久しぶりに帰って来たのに、そんな…
話ぐらい聞いてあげてもっ…」


「なんだお前…
この男が来るのを知ってたのか!?」


「いえ、私はただ…!」


結歌の両親の様子に…

どうやら今回の事は、事前に伝えられてなかったんだと悟る。


不意打ちの作戦なのかと思いながらも、少しショックに感じた。

だったらそれを、話して欲しかった。



「突然の訪問、大変失礼致しました」


戸惑って固まるキミの横で…
その場に素早く正座して、手をつき深々頭を下げた。


「どうしてもお目にかかりたくて…
一方的にご挨拶に伺ったご無礼、深くお詫び致します。

ですが名乗りもせずに、大事な娘さんと一緒に帰る訳には行きません。

どうか、自己紹介だけでもさせて頂けないでしょうか」


すぐさま結歌も同じように頭を下げると、僅かな沈黙が流れる。
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