恋愛図書館

「罪歌(サイカ)!
今から俺の客が枝連れてくんだけど、お前も付けよ」

そう声掛けて来たのは、友人の巧(たくみ)。

常にナンバー3入りしてる巧は、こんな風に枝…つまり指名ナシのフリー客を回してくれる。


ここでは煌(こう)って源氏名の巧に誘われて…
俺はホストクラブで働いてた。



罪歌ってのは、俺の源氏名。

バカ女どもに罪科を下す。
そんなつもりで、漢字と読みを少し変えて付けた名前。


巧に誘われなくても、この仕事は俺にピッタリだと思ってた。

女ってゆう、バカな生き物に復讐出来る。






「煌〜ッ!
今日はこの子の誕生日祝いだから、カフェパ入れてぇ〜。あ、ピーチで!」

得意気にオーダーする、巧の指名客。


連れて来た枝は、誕生日の女も合わせて全部で3人。

祝うのをダシにした、売上貢献だろうな。


安いとはいえシャンパン(正確にはスパークリングワイン)を入れたのも、主役を省いた3人で割れば負担が軽くなるし。

主役以外の枝にとっては想定外の出費だろうけど、その不満も俺らが楽しませれば問題ない訳で。


ずる賢いけど…
俺らにとっては、少しは使える客だ。
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