恋愛図書館

「どれにする?」

併設されたクレープ屋で、小腹を満たそうとすると。


「ティラミスあじ!
サナのだいこーぶつなんだよっ?
いっつもねー、ママがつくってくれてたのっ!」


瞬間…


瞳が潤みそうになる。



「っ…

そっか、…っパパも大好物だよ?
パパもマっ、ママの作ったティラミスが大好きなんだ。

…っママが元気になったらさ、また作ってもらおっか!」

口にする"パパやママ"に戸惑いつつも。

希望で満ちたキラキラの笑顔で頷く桜菜を映しながら…


繋がってる遺伝子とか、
思い出を繋いでくれた結歌に…

感動が詰まってく。



一緒に食べたティラミスクレープは、別に大した事ない味なのに…

すごく、すごく、美味しかった。








「疲れて、寝ちゃってます」

「よっぽど、はしゃいだんでしょうね…」


夕方。

電話で誘導された広部さんの家に、桜菜を送り届けた。


「いつもすみません…
桜菜さえ良ければ、俺が連れて帰りたい所なんですが…」


「…桜菜が良くても、それは難しいと思います。子育ては、想像以上に大変ですよ?」
< 225 / 292 >

この作品をシェア

pagetop