恋愛図書館
「どれにする?」
併設されたクレープ屋で、小腹を満たそうとすると。
「ティラミスあじ!
サナのだいこーぶつなんだよっ?
いっつもねー、ママがつくってくれてたのっ!」
瞬間…
瞳が潤みそうになる。
「っ…
そっか、…っパパも大好物だよ?
パパもマっ、ママの作ったティラミスが大好きなんだ。
…っママが元気になったらさ、また作ってもらおっか!」
口にする"パパやママ"に戸惑いつつも。
希望で満ちたキラキラの笑顔で頷く桜菜を映しながら…
繋がってる遺伝子とか、
思い出を繋いでくれた結歌に…
感動が詰まってく。
一緒に食べたティラミスクレープは、別に大した事ない味なのに…
すごく、すごく、美味しかった。
「疲れて、寝ちゃってます」
「よっぽど、はしゃいだんでしょうね…」
夕方。
電話で誘導された広部さんの家に、桜菜を送り届けた。
「いつもすみません…
桜菜さえ良ければ、俺が連れて帰りたい所なんですが…」
「…桜菜が良くても、それは難しいと思います。子育ては、想像以上に大変ですよ?」