恋愛図書館
仕事柄、喜ぶ反応なんか得意分野な筈なのに…

フルーツタルトを貰った時もそうだ。
ほんとに嬉しいと、こんなにも不器用な反応。


伝え切れないほどの喜びを、どう表現したら伝わるのか戸惑って…

なのに全部伝えたくて、解んなくなって。


「っ…、喜んでるよ。
ほんとに、嬉しくて堪らないんだ…」



今の俺は、誕生日なんかどうでもいい。

だけど、こんなに嬉しい誕生日は初めてで…


心から、幸せだと思えた。




「…っ、じゃあ涙を拭いて〜?
その喜びを仕事のエネルギーに変えて、頑張って下さい!」


「泣いてねぇよ…

まぁ心ん中は、嬉し涙の雨だけど」


「うわ、クッサ!さすがホストだね〜!
私も今度使ってみよっ」

楽しそうにケラケラ笑って、感動をブチ壊すキミ。


いや、今のは素で言ったんだけど…

でも、楽しさは感染する。



「だったら、使用料もらうよ?」

乗り込んだエレベーターの中で、触れるだけのキス。


「あとこれは、ありがとうのキス」


今度は熱く深く…それを交わした。





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