恋愛図書館
ふと…
払い落とした本に、意識が留まる。


その本は、俺が欲しがってたイタリア料理のバイブル。
広辞苑より大きくて高いベストセラー。


床に崩折れたそれを手に取り、すぐに目当ての見返しを開いた。




《プレゼントを兼ねて、この本を贈ります。


23歳の誕生日、おめでとう。

そして、本当にごめんなさい。


今までありがとう。
道哉の夢が叶いますように》



それだけ?
この状況でそれだけなのか!?


だいたい、夢ってなんだよ…
今さら何の夢だって?
からかってんのか!?

ふざけやがって…!



"道哉図書館の本を、思い出と一緒に増やしてこぉね!"

図書館、が聞いて呆れる。


きっとこの本が最後の本で…
贈られたのは、全部で13冊。


俺の図書館は、胸くそ悪い最後で閉館されて…

キミへの憎しみだけが残った。




クソ…!
女に心を許した俺がバカだった!


クソ、クソっ…クソ!!

こっちこそお前の事なんか忘れてやる!



微塵も思い出せないくらい…





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