恋愛図書館
10月
「おっ!
いい秋晴れだねぇ、気持ちがいいなぁ。
そう言えばお前が来てから、1年過ぎたんじゃないか?
よく働くし、勉強熱心だし、当たりくじ引いたよなぁ…」
働いてるイタリアンレストランの店長が、しみじみ呟く。
イタリアンレストランといっても、カジュアルな創作イタリアンで…
複数の飲食店をグループ展開する会社が経営してた。
「当たりくじって…
賭けで採用したんですか?」
「いやいやっ、予想以上って意味だよ。
雇ったのはお前の前向きな姿勢に惹かれてな!」
前向きな姿勢、か…
だけどそれは、結歌からもらったものだった。
*
*
*
「今日は就活しないの?」
「ん、結歌休みだし…
それに就活しても、どこにも相手なんかされないし。
もう日雇いとかでいっかなって」
高校時代、バイトはして来た。
だけど卒業してから、ホスト以外で働いた事ない俺は…
正社員としては、ことごとく相手にされなかった。
だけどもうホストも辞めたし…
貯金はそれなりにあるとはいえ、いつまでも無職でいる訳にもいかず、諦めてた。