恋愛図書館
「とにかく、道哉!
大丈夫って連発してる奴ほど心配になるぞ?
愚痴でも料理の話でも、何でも聞くから無理するな?」

店長がそう締め括って、
話を切り替えるように朝礼を促した。


その言葉は嬉しかったけど…
無理してる訳じゃない。

今は、のめり込む何かがあった方が救われるんだ。

なにより料理は、ささやかでも生き甲斐で…


大丈夫、俺には料理の道がある。



それに、今となっては…

少しホッとしてるんだ。




ー「家族が持てるかっ!」ー

結歌の父親にぶつけられたその言葉に、胸を鋭く突き刺されたのは…

俺自身ずっとそう思って来たから。


俺なんかに、家族が持てる訳がない。



ずっと女って存在を憎んで見下して来て…

家族って存在に不信感を抱いて、諦めて来たのに。





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