恋愛図書館
俺の想いを裏切って、黙って逃げた。

その行動は、他と比べればマシだけど…
そのダメージは、何より激しく俺を苦しめた。


それは、何よりキミを愛してたから。



だからこそ。

家族って存在を警戒して、諦めて来たのに…
キミと結婚したいって、
家族になりたいって思ったんだ。




だけどその存在への不信感は、心の奥でくすぶってて。


あっさり捨てた母親、
突然亡くなった親父、
簡単に裏切る伯母に、

家族がいかに脆くて残酷なのかを思い知らされてた俺は…
そう単純に、その絆を信じる事が出来なかった。


また失うのが怖くて…
心をガードする、壁を創ってた気もする。



そんな俺に、何の覚悟が出来てただろう…?

きっと、ちゃんとした家族なんか築けない。


だから、今になってホッとしたんだ。




これで良かったんだ…

傷がもっと深く、取り返しがつかないくらい化膿する前で。






でも本当は…

良かったと、思い込もうとしてただけなのかもしれない。


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