恋愛図書館
思い出をなぞって…
手に取ったその時の本を、パラとめくる。



《同棲の記念に、メッセージ本を贈ります。


「頼みがあるんだけど…
俺と一緒に暮らして欲しい」

この言葉は、私の胸キュンランキングで圧倒的大差の1位になりました!

あっ、照れましたか?
私も書きながらデレデレです!

一緒に新しい家具を買ったり、
配置争いをジャンケンで決めたり、
同棲準備はものすっごく楽しかったけど…

これからはきっと、もっと楽しいと思います。
いいえ!この本以上に絶対楽しいです!


ねぇ、道哉。
同棲、ありがとう》




胸が…

引き千切れそうになった!



その時の愛しさが甦って…

言いようもない虚しさと、
どうしょうもない寂しさに潰されそうで…!


パタンと本を閉じて、家を出た。




何処に行く訳じゃなく。

息苦しさから、外の空気を思いっきり吸い込んだけど…



何度深呼吸しても、息が詰まる。
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