恋愛図書館
「楽しそうだね?
見てるこっちも楽しくなるよ」


「楽しいよ!
でもサイカくんは、誰よりも楽しくなさそうに見えるよ?」


再び驚いた。



さっきの動作といい、洞察力の鋭い女だな。


そりゃ仕事だし…
ホストなんて、表面的な華やかさからは想像も出来ないほど過酷な世界だから…

誰だって、楽しい訳ない。


だけど俺は、楽しい演技を見破られた事なんかなかったのに…
"誰よりも楽しくなさそう"だって?

ぶすくれてる奴とか、ぼーっとしてる奴とかも居るのに…


俺が内心、女を見下したり憎んでるのを感じ取ってるのか…?



「そりゃあ、自分が楽しむんじゃなくて、姫達を楽しませるのが仕事だからね」

とりあえずそう誤魔化すと。


「だったら余計、自分が楽しまなきゃ相手も楽しめないと思うよ?
ほらお酒もさ、片方シラフだとなんかシラケたりするじゃん?
それに楽しさって伝染すると思う!」


面倒くさい。

興味を持った事を、少し後悔した。
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