恋愛図書館
「でも、まだまだだよ。
店じゃやっと調理に関わり始めたばっかだし…
この おせちもさ、店長にレシピ聞いたり、見よう見真似で…」

思わずした謙遜で…逆効果。


「え、だったら余計すごいよっ!
天性!?才能!?
包丁使いも鮮やかだったしね〜」


「…そんなんじゃないよ。
巧と住んでた時はメシ係だったから、鍛えられたんだよ…」


小3から炊事してた事も理由も、結歌に隠したい訳じゃない。

だけどやっぱり、新年早々楽しさに水を差したくなかった。






「結歌、これ絶品…
えと、伊達巻き風チーズロール?
と、昆布巻き風コーヒーブラウニー!」


「ほんとっ!?
えっへん!未来のパティシエールですからっ。

それより、その好みだとティラミスも好き?」


「うん、1番好き!」



毎年誕生日に買ってくれてたワンカットのティラミスは、親父の大好物で…

それは俺の大好物にもなって、1年に1度の楽しみだった。


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