御曹司と溺甘ルームシェア
またキスされる!

抵抗も出来ずギュッと目をつぶれば、救世主の声が響いた。

「寧々ちゃん~」

ののちゃん!

良かった、助かった!

「残念。ののちゃんに邪魔されたな」

冷泉が名残惜し気に私の顎から手を離すと、私はあたふたしながらこいつから逃げるようにドアを開けて車から降りた。

危ないところだった。冷泉の雰囲気に呑まれるところだった。

何なの、あいつ。……危険な男のフェロモン駄々漏れ。

あー、鼓動が煩い。

静まれ、私の心臓。冷泉なんかに翻弄されるな。

胸を押さえて呼吸を整えていると、ののちゃんが走って来て私に勢いよく抱きついてきた。

「おはよー、寧々ちゃん!」

ドンとタックルされるように抱きつかれて、思わずバランスを崩す。

ののちゃん、朝から元気だな。
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