御曹司と溺甘ルームシェア
私の質問にののちゃんが目を見開きキョトンとする。

「遊園地みたいで楽しいよ」

遊園地……なるほど。この怖い音を逆に楽しんでるのか。

昨日冷泉と乗って怖かったエレベーターだが、ののちゃんの言葉で見方を変えてみる。

“ここは遊園地、ここは遊園地……”。

心の中で唱えて、何とか堪えた。

それから二人揃ってメール室に入ると、昨日と同じように作業着に着替えて郵便物を仕分けする。

今日も時間がなくてヒールの靴を履いてきたから足が痛い。

帰ったらあの段ボールの山からスニーカー見つけないと……。

午前便の仕分けが終わると、近くのデスクの電話が鳴った。

側にいた社員の女性に「出て下さい」と言われ、何も考えずに電話に出る。

「はい?」

『企画部の酒田です。今日の十五時までに契約書を川崎に届けたいんだけど』

今日の十五時までに契約書を届ける?
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