御曹司と溺甘ルームシェア
「貴重でしょう?」

ニッと笑ってじいさんに自慢すれば、じいさんは俺の目を見て微笑み返した。

「ああ、確かに貴重じゃな。逃がすなよ。早く曾孫の顔を見たいものじゃ」

「そのうちに」

じいさんの言葉に同意するように頷くと、じいさんのお迎えがようやくやって来た。

「会長、勝手にいなくならないで下さい」

会長秘書が無表情で近づいてきて、じいさんの前に立つと眼鏡のブリッジを上げる。

こいつは高木玲斗。俺の三年先輩で、メール室の高木の息子だ。

元々、じいさんの秘書はメール室の高木がやっていた。

だが、四年前に彼の奥さんがガンで入院したため会社を退職。その後任でもめたが、じいさんが自ら指名したのが高木の息子だった。
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