御曹司と溺甘ルームシェア
目の前が社食の入り口で行列が出来ていた。

「あ~、成兄、響人君~!」

ののちゃんが岡田と響人の姿を見つけ大きく手を振ると、それに気づいたイケメン二人が優しい笑みを浮かべた。

げっ。

何で社食でも会うのよ。

私は顔をしかめて、心の中で毒づく。

社会人になっても目を引く二人。

周囲の女子社員もきゃあきゃあ騒ぎながら二人を見ている。

相変わらずモテるわね。なんか、高校時代に戻ったみたい。

冷めた表情で、ののちゃんについて岡田と響人の元へ行く。

「みんなで一緒に食べよう」

にっこり微笑むののちゃん。ここで異議を唱える事が出来ず、黙ってののちゃんの横に並んでいると、ある事に気づいた。

あっ、しまった。お金忘れた。

ジーンズのポケットに千円入れたままだ。

ののちゃんはお財布持ってるのかな?

でも……彼女にお金を借りるのはちょっとまずい。
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