御曹司と溺甘ルームシェア
「このケチ!あんた、数百円くらい奢ってくれたっていいでしょう?稼いでるんだし」

耳を押さえて文句を言うと、響人は禍々しい目をして微笑んだ。

「その減らず口、ここで塞ごうか?」

邪悪なその眼差しに背筋が総毛立って声を失う。

公衆の面前で何を言い出すんだ、こいつは!

怒りでワナワナと震えていると、響人はさらに私に身を寄せ囁いた。

「大丈夫。俺の言いつけ守って帽子被ってるし、みんなにバレないようにするよ」

……こいつなら絶対にやる。

「このスケベ!あんたに言われて帽子被ってるんじゃないわよ。勘違いしないで!」

慌てて帽子を脱いで響人の顔面に叩きつけようとするが、こいつは不敵の笑みを浮かべながら帽子を受け止めた。

「素直じゃないな。それに、結構スリルがあって楽しめるのに」

「私は楽しくない!」
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