御曹司と溺甘ルームシェア
岡田がののちゃんの前の席に着くと、みんな手を合わせ「頂きます」と言って一斉に食べ始める。

「寧々ちゃんのぶりの照り焼きも美味しそうだね」

ののちゃんがニコニコ顔でイクラを乗せたご飯を頬張る。

そんな彼女も可愛いと思いながら、頬を緩めた。

「ののちゃんのイクラ丼も美味しそうだよ」

「うん、美味しい!」

嬉しそうに頷くののちゃん。

ここに響人がいなければ彼女とのランチを楽しめたのに……。

ののちゃんとおしゃべりしながら食べていると、こいつはふと私の食べている器を見て言った。

「寧々、まだトマト嫌いなのか?」

無視しようとしても、こいつは自分の存在を知らしめる。

「種のところが気持ち悪くて嫌なの。文句ある?」

仏頂面で返せば、響人は小さく頭を振った。

「いいや。だったら俺が貰う」

トマトが残ったサラダ器に手を伸ばし、響人が箸で掴んでぱくり。

え?
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