御曹司と溺甘ルームシェア
いつものようなやり取りをしようとすれば、今日の寧々は違った。

「なによそれ。もう……あんたの相手をする気分じゃない」

俺の挑発に乗ってこないなんて……寧々の様子がおかしい。

「朝食ぐらい食べたらどうだ?コーヒーとトーストくらいならある。昨日の夜だってろくなもの食べてないんだろ?」

キッチンにはハムの残骸があった。

調理器具が使用された形跡はないから、調理せずにそのまま食べたんだろう。

「いらない。食欲ない」

この頑なな態度。食べ物に釣られるかと思ったのにな。

「熱でもあるのか?」

毛布を無理矢理はがすと、寧々は雷を恐がる子供のように何かを恐れて身を丸くしていた。

その姿を見て、以前鷹頼が言っていた話を思い出した。

あのサマーキャンプの事件以来、寧々は雨の日は外出しなくなったらしい。

サマーキャンプのあの日も突然、激しい雨が降ってきて……。
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