御曹司と溺甘ルームシェア
余計に放っておけない。

こんな姿、見てられない。

「嫌だね。うちで芋虫みたいにうじうじされるのは鬱陶しいんだよ」

わざと冷たい言葉を言い放てば、寧々はギュッと唇を噛み締めた。

「……鬱陶しくて悪かったわね」

ポツリと呟く寧々の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。

こんな弱々しい彼女を見てると胸が痛んだ。

俺は毛布で彼女をくるむと、今度は優しく声をかけた。

「ずっとひとりで苦しんでたんだろう?辛かったな」

俺の言葉に気が緩んだのか、寧々の頬を涙が伝る。

頭をクシュッと撫でてやろうと思ったが、手を伸ばそうとして止めた。

宙をさ迷う手をぎゅっと握り、寧々に直接触れるのを我慢する。

思い詰めた顔の彼女に、テーブルの上のティッシュの箱をそっと差し出した。
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