御曹司と溺甘ルームシェア
「……だから、私と婚約なんて止めたら?こんなメンドーな女と結婚したってあんたにメリットなんてないわよ」

自分を卑下する寧々なんて初めて見る。

彼女の切なさが伝わってきて、もう自分を押さえられなくなった俺は毛布の上から彼女を優しく抱き締めた。

「残念だが、離してやらない。俺はそのメンドー女が好きなんだ。諦めろよ」

「……何よそれ。あんたって変人」

か細い声で呟くと、寧々は俺の腕の中で小さな子供のように泣きじゃくった。

ずっとひとりで正体不明の恐怖と戦っていたんだな。

「大丈夫だ。俺はずっとお前の側にいる。だから、ひとりで苦しむな」

今度こそ俺がお前を守るから。

心の中でそう誓い、寧々の背中をポンポンと撫でるように軽く叩く。

一時間くらい経っただろうか?
< 152 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop