御曹司と溺甘ルームシェア
玄関に飾ったユニコーンは、自由を手に入れたいと思う俺のささやかな反抗。

生まれた時から冷泉商事を継ぐ事が決まっていた俺には、職業選択の自由なんてなかった。

絵を描くことで小さな自由を手に入れる。

真っ白なキャンパスに自分の思うがまま色をつける。

そうすることによって心のバランスを保っているのかもしれない。

俺が集中して描いていたせいか、寧々はずっと無言だった。

彼女は毛布にくるまりながらずっと窓の外を眺めていた。

いろいろと角度を変えながら寧々の顔を何枚も描く。

聞こえるのは静かな雨音だけ。

さっきよりは雨足が弱まったようだ。

これなら、午後には晴れるか?

そんな事を考えながら、最後の一枚を描き上げる。

椅子から立ち上がると、半分は想像で描いたこの最後の一枚の絵を寧々に見せた。
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