御曹司と溺甘ルームシェア

「あのね、今日は成兄会議があって遅くなるから先に帰ってていいって。だから、寧々ちゃん、仕事終わったらののとお茶しよう。あっ、翔くんはついて来ちゃダメだよ。ガールズトークするんだから」

ののちゃんは可愛い顔で金髪男に釘を刺す。

「おい、のの。それは……」

金髪男が反論しようと口を開くと、ののちゃんは金髪男の口に指を当てた。

「ダ・メ」

小悪魔的な……でも本人は至って普通のののちゃんの仕草に固まる金髪男。

私にはない女子力。ののちゃん、凄い。

ののちゃんに何も言えないまま口を閉ざし、明生君と一緒に新聞の集配に行く金髪男。

テーブルの上の千円札を見て私はクックと肩を震わせて笑った。

「あいつ……お金忘れてる。ののちゃん、最高！」

「ん？何が？」

キョトンとした顔でのんびり聞き返すののちゃんの頭をよしよしと撫でると、私達は作業着に着替えて仕事を始めた。