御曹司と溺甘ルームシェア
こいつ……私に喧嘩売ってんの?

「あ、あ、あんた、デリカシーの欠片もないのね!」

狼狽えながらも私は必死に言い返す。

「寧々、声が大きい」

弟の鷹頼が顔をしかめて注意するが、それで素直に言うことを聞く私ではない。

「鷹頼、あんたは引っ込んでて。冷泉にこんなこと言われる筋合いないわよ!」

ギュッと握った拳がブルブルと震える。

冷泉を殴りたくて仕方がない。

だが、こいつに触れるのは私にとって自殺行為に近い。

「その言葉、そっくりそのままお前に返すよ」

……ひょっとして、さっきのマザコン発言聞こえてた?

それにしたってレディーにこんな事面と向かって言うなんて酷くない?

聞こえたとしてもさらっと流すのが紳士ってもんでしょう?

「はあ?わけがわからないわ」
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