御曹司と溺甘ルームシェア
心臓が止まりそうな程の強い衝撃で身体がしびれる。

舌を噛んでしまったせいか口の中は血の味がした。

でも、考えてしまうのはののちゃんの事。

あの子だけは守らなきゃ。

「おい、止めろ!」

金髪男の声が聞こえたけど、あいつはもう一人の相手で精一杯で……。

ののちゃんさえ守ってくれればそれでいい。

「ののちゃん連れて逃げて!」

声を限りに叫んで、ひたすら祈った。

“ののちゃんを守って”。

「ちょっと綺麗な顔してるからってお高くとまんな」

男が私に近づき私のシャツを乱暴に掴むと、一瞬にしてボタンが飛び散った。

このままだとまた襲われる!

また?

耳鳴りがして頭が痛い。

この感覚……初めてじゃない。

男が馬乗りになり、ポケットからスマホを取り出す。

「お前のこの姿、ネットに流してやるよ」

「嫌よ!」
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