御曹司と溺甘ルームシェア
成介の言葉に頷いて、俺は寧々と一緒に救急車に乗り近くの大学病院へ向かった。

救急車に乗りながら寧々の手を握る。

普段、マニキュアを施されている綺麗な彼女の手は、ところどころ爪が欠けてマニキュアも剥がれている部分があった。

気を失ってるせいなのか、俺がずっと彼女に触れていても寧々の身体にじんましんは出なかった。

大学病院に着くと、救急の処置室にストレッチャーに乗せられたまま寧々は運ばれた。

彼女の姿を見送ると、俺はスマホを取り出し鷹頼に電話した。

「俺だけど」

『こんな時間に珍しいな。寧々が何かやらかしたか?』

鷹頼が電話の向こうで面白そうに笑う。

寧々が我が儘でも言って俺が連絡してきたのだとでも思っているのだろう。

「いや……。男に暴行されて今、病院で診てもらってる」

感情を抑えた声で静かにそう告げると、驚いた鷹頼は急に真面目な声で確認した。
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