御曹司と溺甘ルームシェア
こんな顔……誰にも見られたくない。

私はうつ向いたまま唇を強く噛み締める。

許せない。絶対に許せない。

「一体どういうつもりよ、冷泉!」

私は床のカーペットを睨み付けたまま冷泉に食って掛かる。

「ショック療法で治るか試してみたんだけど、駄目だったみたいだな。残念」

淡々とした口調。

こっちは全身痒くてかきむしりたくて仕方がない状態なのに、落ち着き払っている冷泉が憎い。

ショック療法だあ?ふざけんな!私はあんたの玩具じゃないっての!

「誰があんたの世話になるか!もう、私の前に二度と現れないで!不愉快だわ」

左手で自分の顔を隠しながら語気を荒げ、ゆっくり立ち上がると踵を返す。

「……寧々、大丈夫?」
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