御曹司と溺甘ルームシェア
あいつの作ってくれたオムライスは温かくて優しい味がした。

食べて身体が温まると、ぐちゃぐちゃだった頭も少し落ち着いて、何事もなかったかのように振る舞おうとした。

軽くシャワーを浴びるとリビングに移動し、何気なくテレビを観る。夜のニュースをやっていたけど、内容は全然頭に入って来なかった。

その代わり、ひとりになると真っ黒な闇が私の脳を浸食する。

それは、さっき私が取り戻したサマーキャンプの記憶。

ずっと欠けていたピースがピタッとはまった。心のモヤモヤは晴れたけど、その先にあったのは悪夢のような恐怖で……頭がおかしくなりそうだった。

誰も私にサマーキャンプのことを話してくれなかったのは、こうなるのがわかっていたからだろう。

洪水のように恐怖が頭の中に流れ込んできて、私を深い闇の底へ突き落とす。

どんなに叫んでも口を塞がれて声が届かない。

どんなに抵抗しても、不良連中から逃れることが出来ない。
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