御曹司と溺甘ルームシェア
実際、鏡を見てちょっとショックだったけど、それよりも戻った記憶を受け入れる方がかなりきつくて……。

バスルームから出た私はかなり取り乱していた。

響人を遠ざけて、婚約を解消して完全にひとりになりたかったんだ。

不良に襲われた暗い過去を持つ女。そんな女と結婚なんて普通は考えないでしょう?

私が男ならそんな厄介な女には手を出さない。女は他にもいるんだから……。

皮肉なものだ。あんなに美容に金をかけたのに、私の身体は汚れている。

放っておいて欲しかった。でも……あいつはそれを許さなかった。

あの場面でキスしてくるなんて誰が予想する?

パーティで会った時は遊び半分のキスだったけど、あのキスは違った。響人の感情が流れ込んできて、混乱した私はあいつを拒めなかった。

すがりたかったのかもしれない。誰かに頼りたかったのかもしれない。
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