御曹司と溺甘ルームシェア
私の動揺をあいつは知っててじんましんのことは気にせず私を抱き締めてまた口付けた。

ひとりじゃないんだって思えたのはあの瞬間。

そして、止めがあの愛の告白。

『愛してる』

まだ響人の声が頭の中に残ってる。

こんな顔してる私に告白って……あり得ないでしょう?

全ては私を慰めるため?

あんな真剣な表情の響人は初めて見た。

「寧々」

響人もシャワーを浴びたのか、部屋着姿でリビングに現れる。

「手を出して」

小首を傾げながら何かを受け取るために右手を差し出すと、クスッと響人に笑われた。

「何もあげないよ。爪見せて」

「爪?」

……今ボロボロだし見せたくないんだけど……。

手のひらを返して渋々爪を見せる。

剥がれ落ちたローズピンクのマニキュア。爪は欠けて誰が見ても、何かあったってわかる。
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