御曹司と溺甘ルームシェア
顔を背けると響人が私の手を取り、除光液をし垂らせたコットンでマニキュアを拭った。

響人の行動に驚いてじっとこいつの手を見ていると、次にこいつは爪やすりで私のいびつな爪を整えた。

仕上げはマニキュア。

私の部屋から道具を一式持ってきた響人は、一本一本丁寧にラメの入ったライトブラウンのマニュキアを塗って仕上げていく。

「これで終わり。しばらく触るなよ」

私の手を見て響人が満足げに目を細める。

それから、部屋着に着替えていつものようにソファで寝ようとすると、「今日はベッド使えよ。これからずっとでもいいけど」と軽口を叩いて響人が私を寝室へ運んだ。

普段なら意地でも抵抗していたけど、疲れていた私は素直に従った。

ベッドに寝かされ、自分はソファで寝ると言うあいつの手を思わず掴んでしまったのは私。

怖かったんだ。
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