御曹司と溺甘ルームシェア
ひとりになりたかったはずなのに、ひとりでいるのが怖かった。

精神的に弱っていた私は、響人に優しくされて側にいたあいつについ助けを求めた。

「あ……ごめん」

何をやってるのよ、私。こんなの私らしくない。

自分の行動に気づいて慌てて手を離すが、響人はじっと私の顔を見ると自分もベッドに入ってきた。

「大丈夫。俺がついてる」

響人はそんな私の胸の内をわかっていたのか、それから何も言わずに側にいてくれた。

背後からそっと私を抱き締めて……。

人ってこんなにも温かい。

私って……そんなことも知らず生きてきたんだな。

響人に守られてる……そんな安心感からか、眠れないと思ったのに私はしばらくすると意識を手放した。

きっと私には必要だったんだ。自分を誰からも守ってくれるあいつの抱擁が……。



< 198 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop