御曹司と溺甘ルームシェア
「……痛い」

寝返りを打つと身体にズキッと痛みが走った。

顔をしかめながら目を開けて右の腹部を庇いながらゆっくりベッドから上体を起こす。

手を伸ばしてベッドの横に触れると冷たかった。でも、昨日の夜、私は響人と一緒にベッドに入った。

ベッドが冷たいということは、あいつが起きてからかなり時間が経っているということだ。この寝室には今私しかいない。

「響人はいつ起きたんだろう?」

あの温もりがないのはちょっと寂しくて心細い。

それに……今何時なの?

ベッドサイドに置いてあるデジタル時計に目をやれば、時刻は午前九時二十三分。会社の始業時間はとっくに過ぎている。

……寝過ごした。

響人の奴……会社に行くなら起こしてくれてもいいのに……ううん、声はかけられたのか?

髪をかき上げながら、ぼんやりと浮かんでくる記憶をたどる。
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