御曹司と溺甘ルームシェア
さっき高校時代の恩師に挨拶したけど、感無量って感じはなく、「お久しぶりです」と一言言っただけで、後は先生の長話を適当に聞き流していた。

四十過ぎても独身男の元担任は私や美奈に「誰か可愛い子を紹介してくれ」と切羽詰まった様子で言ってきたが、頼む相手を間違えている。

私立とはいえ、高校教師の年収なんてたかがしれている。私の友人のほとんどは年収二千万でも不満なのに、紹介できるわけがない。

今は美奈に付き合って男の値踏み。彼女の参加目的は同級生に会う事ではなくて、婿探しだ。

三枝美奈は私と同じ二十八歳で化粧品会社の社長令嬢。身長は百六十センチ、華奢で、髪はセミロング。

顔は童顔だけど化粧で大人っぽく見せている。おっとりしていて性格もいいから、男性にはモテる。

彼女は三十までに結婚しないと、親の決めた相手と結婚しなければならない。

美奈は他に兄弟はいないし、彼女、もしくは彼女の将来の夫が会社を継がなければならない。でも、悲しい事に世間知らずに育った彼女に経営の才はない。
< 2 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop