御曹司と溺甘ルームシェア
ニコリと微笑みながらその女性は親しげに話しかけてくる。

私が小学生の時に会ってるってことはこの人はその時中学生か高校生?

でも……記憶がないんですけど……。

「……響人さんのお姉さんってことはないですよね?」

自分の髪で頬を隠しながら、私は思ったことを口にする。

「あら、そんなに若く見える?嬉しいわ!」

やはり姉ではないらしい。

「私はね、響人の母の冷泉葉月よ。寧々ちゃん、大きくなったわね」

「響人さんのお母さま……」

言われてみれば、クリスマス会の時に会ったような。

でも、なぜこんなに若いの?五十代くらいのはずでしょう?年取ってないんじゃない?

「堅苦しいわ。親子になるんだもん。私のことはお母さんって呼んでくれない?娘が欲しかったんだけど、うちには響人しかいないでしょう?寧々ちゃんがお嫁に来てくれてすごく嬉しいのよ。もっと早く寧々ちゃんに会いたかったんだけど、やっと響人のお許しが出てね。あの子ね、大事なものはいつも隠すのよ。この家にあるアトリエにだっていれてくれないし、ケチよねえ。見せてくれたって減るもんじゃなし……それで響人がね、珍しく私にお願いするのよ。うちに来てくれって」
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