御曹司と溺甘ルームシェア
機関銃のように話し出す響人のお母さんの話を、苦笑いしながら延々三十分は立ったまま聞いていたように思う。話を止める気力もなかった。

一通り息子の愚痴を言って満足したのか、ようやく彼女は私をダイニングテーブルに案内する。

席につくと、テーブルの上にクラムチャウダーと胡桃パンとサラダが置かれた。

「お口に合うといいんだけど」

私の目を見ながら響人のお母さんがニコッと微笑む。

私の頬の傷には気づいているはずなのに、彼女はそのことには触れなかった。

響人が彼女を呼んだのだから、きっとあいつから話を聞いているのだろう。

手を合わせて「頂きます」と言うと、目の前に置かれたスプーンを手に取りスープを口に運ぶ。

温かくてまろやかな味で美味しい。

パンも焼きたてなのか、良い匂いがする。
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