御曹司と溺甘ルームシェア
もし、今日彼女が出勤していれば、私がいなくて心配しているかもしれない。

ののちゃんが泣いている姿を想像すると胸が痛くなる。

「……せっかくのお話なんですけど、今日はこれから会社に行きます。ののちゃんには心配をかけたくないし……」

「身体は大丈夫なの?」

「少し痛みますけど、動いてる方が気が紛れると思います」

自分よりもまずはののちゃんだ。あんな良い子守らなくてどうするの?

「そう。妹からも寧々ちゃんのこと聞いてるのよ。ののちゃんと仲良くしてくれてありがとう」

「いいえ、仲良くしてくれてるのはののちゃんの方ですから」

「そんなことないわ。ののちゃんは周囲が男ばっかりだったし、ずっと女の子のお友達が欲しかったの。妹も私も寧々ちゃんに感謝してるのよ」

「感謝だなんて大げさです。あの……ご馳走さまでした。とても美味しかったです。母のこと思い出しました」

この親子は似ている。私が弱ってる時に温かいものをくれるのだ。

小さく微笑み、手を合わせてご馳走さまをすると席を立つ。
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