御曹司と溺甘ルームシェア

13、寝耳に水の話

朝食の後、服を着替えてタクシーを呼ぼうとすると、響人のお母さんが「私が送るわ」とポンと私の肩を叩いてニコリと笑った。

「いえ……お母さんに送らせるなんて……そんなの出来ません」

丁重にお断りして、頭を振る。

いくら私でも響人のお母さんを足に使うほどふてぶてしくはない。鷹頼をこき使うのとは違う。

「大丈夫。私ゴールド免許よ。素直に送られなさい」

自慢気に言って笑みを浮かべる響人のお母さん。

いえ……運転の腕を心配してる訳ではないんですけど……。

でも……彼女の笑顔には有無を言わせぬ雰囲気があって、私はゴクリと息を飲んで頷き、素直に従った。

ゴールドと自慢するだけあって、響人のお母さんの慣れた運転で危なげなく会社の地下駐車場に着く。

「うちの人が何か言ってくるかもしれないけど、寧々ちゃんは気にしないでね」