御曹司と溺甘ルームシェア
「あの人、響人を妊娠中に浮気してね。それ以来、ずっと別居よ。離婚はまだしてないけど、響人が会社を継いだらさっさと離婚するつもり。あんな男、未練もないわ」

吐き捨てるように呟く響人のお母さん。

響人のお父さんは、夫としては最低な男らしい。

妊娠中に浮気なんて私なら絶対に許せない。

考えてみたら響人の両親のツーショットって見たことがない。パーティで会ったことがあれば、すぐに響人のお母さんってわかったはずだ。パーティで見かけるのはいつも響人のお父さんだけだった。

夫婦中が悪くて一緒にいなかったのなら納得だ。

「無理はしないでね。具合が悪くなったら必ず休むのよ」

響人のお母さんが私の肩に手を置いて心配そうに声をかける。

「はい。送って頂いてありがとうございました」

シートベルトを外して軽く頭を下げると、ルームミラーで頬の傷をマスクで隠せてるか確認する。

完全には隠せてないけど、しないよりはマシだろう。
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