御曹司と溺甘ルームシェア
ああ、私の顔を見て笑ってるわけね。でも……それって社長としてどうなの?

カチンときたが唇を噛み締め怒りを抑える。

「息子が私の不在中に勝手な事をしでかしてくれたが、君と結婚させる気はない。あれにはすでに婚約者がいる。佐々木コーポレーションの社長令嬢は……容姿端麗、頭脳明晰で申し分ない」

『婚約者がいる』ってどういうこと?

寝耳に水の話に私の顔は強張り、それ以上社長が何を言ってるのかわからなかった。

私の他に婚約者がいる。

響人のお父さんの落とした爆弾のショックは大きくて、胸がズキンと痛んだ。

響人の父親が言うんだもん。嘘ではない。

お母さんが私に忠告したのはきっとこのことだろう。

じゃあ私は何なの?

頭が混乱して何がなんだかわからない。

「おじさん、響人君は寧々ちゃんと結婚するんだよ」
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