御曹司と溺甘ルームシェア
「お前のような小娘に指図される覚えはない」

「指図ではありません。お願いしてるんです」

私は響人のお父さんの目を見据え、訂正する。

「お願いするなら頭を下げたらどうだね。態度がなってない」

態度がなってないだあ?あんたは人格がなってないわ!

「この唐変木」

私が小声で罵ると、響人のお父さんは表情を険しくした。

「何だと!」

険悪なムードの中、ずっと席を外していた高木さんが響人のお父さんの背後から現れる。

「社長、私の部下やメール室を愚弄するような発言は止めて頂けませんか?」

声は穏やかだが、高木さんの目は冷ややかだった。

「メール室は会社の歯車の一つです。なくせば業務に支障が出るのは誰の目にも明らかなはず。あなたがそんなではすぐに響人さんに足をすくわれますよ。軽率なことはしない方が身のためです。会長も私と同じ意見だと思いますよ」
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