御曹司と溺甘ルームシェア
「岡田って見かけによらず結構Sよね」

目の前にある氷の入ったグラスを手に取り、キスされた左頬に当てて冷やす。

普段中性的な綺麗な顔立ちで男を感じさせないのに、さっきの岡田からは危険な男の空気が漂っていた。

なんて言ったらいいんだろう。獲物を狙う肉食獣の雄のような。

「今朝響人がご機嫌な顔で言ったんだ。『俺が触れても寧々のじんましん出ない』って。

それは嬉しそうにね」

響人の奴……、朝から何岡田に話してんのよ!

眉間にシワを寄せながら心の中で毒づく。

「そんな怖い顔しないで。寧々ちゃんはさあ、心より身体の方が正直だよね。誰が好きかなんて明らかじゃないか」

「何が言いたいのかわからないわ」

グラスをテーブルに戻して岡田の言葉を突っぱねる。

「強情だな。認めちゃいなよ。響人が好きだって」
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