御曹司と溺甘ルームシェア
まさか響人が隣の個室にいるなんて……。

「響人が好きなら、奪いに行きなよ」

頬杖をつきながら、岡田が隣の部屋を指差す。

「他人事だと思って簡単に言ってくれるわね」

私が苦笑すると、岡田は少し意地悪な目で笑った。

「他人事だからね」

「あんた……いい性格してるわね」

優しそうな顔して、結構無茶ぶりする。

「よく響人に言われるよ。で、どうする?」

「い……行くわよ!奪いに行けばいいんでしょう!」

もうこうなったら自棄だ。行ってやるわよ。

「素直で宜しい」

岡田が満足げに笑い、ニヤリとする。

こいつ……いつか蹴り入れてやりたい。

でも、他の女に響人を取られるなんて嫌だ。あいつは私のよ。

バンとテーブルを強く叩いて椅子から立ち上がり、隣の部屋に向かおうとすると岡田がヒラヒラと手を振った。

……気楽でいいわね。
< 232 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop