御曹司と溺甘ルームシェア
部屋を出ると、隣の部屋から響人と若い女性というか女の子の話し声がした。

各個室にドアがないから、入るのは簡単だ。

ノックなんてする必要はない。ただこの足を踏み出せばいい。

「響人さんと一緒にまたお食事出来るなんて嬉しい!ずっとまたお会いしたいって思ってたんですよ」

可愛い声が耳に届く。

多分……私と正反対で男なら守ってあげたくなるような子なんだろうな。だけど……譲れない。私にはあいつだけなんだから。

「食事は今日が最後です。僕はあなたとは……」

響人の声が次に聞こえてきて、ハーッと息を吐くと、私は意を決して部屋の中に飛び込んだ。

「悪いけど、こいつは私のだから!」

はっきりと宣言して、響人の腕を掴む。

噂の社長令嬢は、二十代前半で目がクリッとした可愛い女の子だった。

私の突然の乱入に驚いた彼女は唖然として口をポカンと開けたけど、響人は平然としていた。

まるで私が乗り込んで来るのが最初からわかってたような顔だ。
< 233 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop