御曹司と溺甘ルームシェア
『いい気なもんだよな。俺に泣きついて来たってしらねー。勝手にしろ、バーカ』

呆れた口調で言うと、鷹頼は怒って部屋を出ていった。

姉弟喧嘩はいつもの事。だが、いまだかつて鷹頼が勝ったためしがない。私が姉である以上、弟は私に勝てないのだ。

弟なら姉に従うもの。双子だろうが姉は姉だ。

ぶつくさ文句を言いながらも鷹頼はずっと私に従って来た。だから、心配なんかしない。

鷹頼は根が優しいから、私を放っておかず助けるに決まってる。

でも……冷泉の放った言葉が頭を離れなかった。

『死ぬまで弟におんぶ』……か。

チクリと私の心に突き刺さる。

今のままだと確実に冷泉の言った通りになる。

これでいいわけない。それは……自分でもわかってはいる。

私の事が心配だから鷹頼はイギリスに家具の修行に行くのを諦めた。あいつの夢だったのに……。

高慢で高飛車で我が儘な姉だって思ってるだろうな。
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