御曹司と溺甘ルームシェア
鷹頼が私を見放せばいい。そうすれば、弟は私から自由になれる。

私だってこのままずっと鷹頼の手を借りるのは嫌だ。私にだってプライドがある。

でも……どうしていいかわからない。

鷹頼のように頭は良くないし、何か特別な才能があるわけでもない。

社会に出て働く勇気なんてない。しかも、この厄介な体質。

男に触れられてじんましんが出るだけじゃない。私には……他にも外出出来なくなるほど苦手なものがある。

『……本当にヘタレなのは私か』

自嘲気味に呟くと、私はベッドに突っ伏した。

将来の事なんて考えたくない。怖くて考えられない。

大丈夫。うちにはお金がある。お金が私を守ってくれる。

でも、お金がなくなったら?私には何もない。

その時、私はどうなる?

「……野々宮さま。野々宮さま」

店員の声で私はハッと我に返る。
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